各所でこの経済状況の悪化によりLinuxの採用が増えるとの予想が出ているようである。その理由もわからないではない。何せ基本的に無料なのだから。例えば以下のようなエントリー。
曰く、
- 価値、少ないハード資源、活発な開発
- アプリの選択肢が多い(注:Winの方が多い)、複数の配布がある、 オープンソースモデ
- 開発コミュニティ、Unixの安定性(注:これは誤り)、Winとの互換性
- 商用サポート
うーん。オープンソースであること、配布が複数、安定性(記事では間違っているが)辺りはいいのですが、商用サポートは結構なお値段です。オープンソースであることはとてもメリットではあると思うのですが、経済悪化>即無料なの採用とはならないのではないだろうか。結局元々あるメリットの列記である。
Linuxの最大のメリットはなんといっても価格。基本的に無料であり、オープンソースであり、GPLによって独占できないことが最大のメリットだと思います。これはこれまでも、これからも大きなメリットでしょう。リセッションによって当然エンドユーザの採用にも当然無料というのはモチベーションがあります。
ただし昨日も書きましたが、短期的には大変な痛手を被ることは間違いない。お金持ちなMr.UbuntuのShuttle Worth氏だって相当な損害を被ったに違いない。当然よそからの投資も鈍るか打ち切りだろう。Ubuntuの発展・普及が少なからず現時点でのLinux普及の刺激剤となっていることは間違いない。
開発者の仕事が無くなればLinuxやOSSを作る余裕が無くなるかもしれない。今後の経済状況次第でUbuntuさえ開発が停止することだってあり得るのです。そうなると再び停滞となることは明らかでしょう。Redhatだってサーバ新規採用が減り、ライセンスの売り上げは激減でしょう。
企業向けでは教育コスト、リプレースコストを避けるため、現状維持。少なくとも後数年は増えないだろう。従って結果としてXPが残る。ただし低価格なPCやリサイクルではUbuntu等の採用が増えるかもしれない。
消極的かもしれませんが、減速が進むに従ってXPが底堅いと思えてならないのです。自然減によってXPのじり下がりとMac/Linuxのじり上がりでしょうね。楽観的に考えると、うまく進むと、数年で十分な普及率が確保出来、後は加速的に伸びるか、なんていうのは希望的な話。変動要素はMicrosoftの新OSですが、新規購入PCが減る分相当伸びないでしょうね。
組み込みでLinuxに携わる私としては製品への採用率自体は今以上に増える、ただし開発の絶対数が低下となり、総合的にはマイナスか。明るい先とは思えません。商用の組み込みLinuxも現状では結構ライセンスは高価ですが、どう考えても維持は不可能でしょう。また今まで取り合いだった優秀な人材が余るか妥当な数となり、逆にぼちぼちだった人たちの淘汰が進む。いずれにせよ絶対数の減少はいかんともしがたいか。
ただ、この時期に残る人たちは、おそらく今後の核となる人々であろう。特に利益が上げれる人となればなおさらです。もの作りから離れるといわれる日本ですが、核となる技術は現場にあります。頭でっかちでは理解も判断の出来ないことも多い。たとえ海外に開発委託をしたとしても日本にもちゃんとした技術は必要なのです。
生き残りを考える開発者は足場を固め、守りと攻めの準備を始めるべきだ。優れた芸術やデザインの製品は不況の時にこそ生まれるという話もある。そのためにも間接的直接的にOSSに関わるべきだ。その結果はまだまだわからない。なにせ大きなマイナスの入り口なんだから。
追記:連投で暗い話題申し訳ないです。これに懲りずにまた来て下さいませ。