Linuxデスクトップに関してはわずか数年でトップといっていい位置に来たUbuntuですが、最近ではサーバやモバイルに向けても動いているようです。以前よりサーババージョンも同時にリリースされていましたが評価としては余り芳しくなく問題があるという評価がありました。その関連の記事を見つけたのでメモ。
- Ubuntu Server: Kernel Configuration Considerations
- Ubuntu Server: Kernel Comparisons and Implementation Issues
まず上の記事に関して、サーババージョンとデスクトップバージョンのLinuxカーネルを展開してみて比較した結果。diffを見ると違いはコンフィグレーションの違いだけのようです。主な違いを見ると以下のような感じ。
サーバ | デスクトップ |
|
スケジューラ | Deadline |
CFQ |
IOスケジューラ | Deadline |
CFQ |
メモリ |
HIGHMEM64 | |
Tick |
100Hz |
250Hz |
CPU |
M686 |
M586 |
IPV6 |
Multiple |
|
NETLABEL |
y |
|
IPC_NS | y |
|
UTS_NS | y |
|
PREEMPT_BKL | y |
|
RESOURCES_64BIT | y |
スケジューラの設定の違いとしてはCFQの方が公平なスケジューリング、IOスケジューリングではDeallineはよりリード優先となるようです。プリエンプションはデスクトップでは有効ですがサーバでは性能が最大化されるのでこちらの方がいいとのこと。より大きなメモリやネットワーク機能を有効にしていて、まあサーバとして妥当な感じに見受けられます。
二つ目の記事はインストールから始まってもう少しいろいろととっこんでおり興味深い。長いので簡単にメモると
- M686 CPU向けにコンパイルされているので686系CPUだと少しだけ性能がいいはず。
- デスクトップではNamespaceが有効になっていないので少し危ない
- インストールは1CDで出来てよい
- パッケージはサーバ・スクリプトなどは妥当で約900MBと小さく、必要なものを足す方針なのは良い
- サーババージョンもデスクトップのように簡単と思うと異なり、ほとんどを自分でやらないといけないがX-Windowなしでwebmin等を使ってやるのがいい
- debianのtesting/unstable/exprimentalからパッケージングされておりdebianのセキュリティチームのサポートが受けれない
- debianと同じようにインストールしたらサーバが走り始めるので、何をやっているかわかっていないと不用意にサーバを公開することになる
- AppArmorがSELinuxの代わりに使えるが、設定などを自分でやらないといけない
- Ubuntu特有のコンフィグレーションについて説明が不足している
- 新しすぎるパッケージングはサーバには不安
- など
記事の筆者はCanonicalの宣伝に関して少し文句があるようですが、ユーザを集めることが出来るということ自体いいことだと思うので、今後も採用が増えるのは違いないと思います。
個人的にはサーババージョンには安定性、セキュリティ、長いサポート期間を求めますし、Xを含め不要なパッケージがあまりインストールされずコンパクトにまとめられているのは好ましい気がします。もっとwebmin等の管理ツールがデフォルトでセキュアにセットアップされるのが望ましい感じ。
いろいろ突かれるのは注目されている証拠なので、こういった情報も踏まえて活用するのがいいのかもと思います。次のバージョンは長期サポート版LTSになるので、今使っているサーバの替わりやサブサーバに使えるかどうか期待です。