Xen Sourceの元CEOが率いるPano Logic社という仮想デスクトップの新興ベンチャー企業に関するニュース。少し気になってPano Logicのwebを見てみると意外に興味深いです。
仮想デスクトップといってもPano Logicの販売するのはサーバ向けのソフトウェアとセットトップボックスの組み合わせ。要するにシンクライアントの 一種ですね。
特徴はCPUレス、ソフトウェアレス
サーバ側はVMware ESX Serverに、シンクライアントコントロール用ソフトウェアをインストール。これがPCのペリフェラル搭載の手のひらサイズのセットトップボックスとEthernetを介して通信するような構成。セットトップボックス側のハードウェアはVGA, キーボード、マウス、USB 2.0, オーディオです。ネットワーク接続のKVM+α+サーバソリューションといった趣です
他のシンクライアントと異なるのはセットトップボックス側のハードウェアがよりThinになっているとPanoが詠っているところ。実際どうやって実現しているかはわかりませんが、CPUレスだそうです。PanoのWebには"no CPU, no memory, no operating system, no drivers, no software and no moving parts"とあり、IPネットワークを利用してPCのペリフェラルを拡張するのだそうです。
ここまで言い切るからには、かなりの部分をハードウェア化しているのでしょうね。内部はASICかFPGAで構成されてるのでしょうか。論理的に見てメモリレスというのは難しいでしょうが、CPU&ソフトウェアレスというのはやってやれないことはなさそうです。
既にだいぶ前からハードウェア化されたTCPスタックや圧縮・暗号化のハードウェアIPは販売されているので、上位の通信プロトコルとペリフェラルとをハードウェアロジックで構成して接続すればいいわけです。IPは使ったことがないので詳細はわかりませんが相当なセルを食いそうです。ASIC/FPGAにCPUを内蔵する構成なのかもしれませんが外部メモリなしではきつそうです。
またキーボードやマウスやUSBはいいとしてVGAが1600x1200とあるのでデータ量が多くこちらも結構大変そうです。ワンチップでは実現できないかもしれないですね。
自分が設計するなら
マーケティング的な面は置いておくとして、自分で実際に設計すると考えたら、やはりCPUレスというのは厳しいでしょう。安易ですがARMとかSHなどの組み込み向けプロセッサで同じものを構成するほうが手早く安く上がりそうです。TCPスタック内蔵のコントローラも安価に販売されているので、こちらでもいいかもしれません。
どれだけ数が出るかわかりませんが、ブロードバンドルータや玄箱に毛が生えたようなハードウェアで実現できそうなので一台数万円もしないで作れるでしょうね。 大量生産するなら1万円を切ることも出来そうです。
現在のPanoは対象OSがWindowsのみのようですが、今後はLinuxデスクトップも含んだオープンな構成で使えるほうがうれしいでしょう。安易な発想ですが、Linuxカーネル+専用VNCクライアントを小さくてHDDレスで安価なケースに入れれば意外に売れるかもしれないですね。(いや、個人的に熱くて音のするPCを別な部屋に追い出したいだけなんですが...)