Intel Moblin.orgやUbuntuのモバイル・組み込みLinuxが手を組み立ち上がりましたが、組み込みLinux業界最大手MontaVistaはTimeToMarket・製品保証等を根拠に静観だそうです。でも個人的には業界地図が塗り替わりそうな予感がします。
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確かに組み込み業界は少し特殊です。納期、製品コスト、信頼性、長期のサポートなどソフトウェアがハードウェアの部品と同じような品質を要求される分野です。半年ないし数年スイッチを切らずに動き続けるなんて当たり前です。また多種の非標準的なハードウェアのサポートが必要なことも多く、場合によってはそのハードウェアのためにボードやソフトウェアが組まれることも少なくありません。
素のLinuxは比較的リアルタイム性の少ないコントローラを受け持つことが多く、そこにリアルタイム性と信頼性を持ち込んでいるMontavistaなんかの存在価値があるわけですね。
でも、Linuxがバザールな開発モデルで、(もともとUnixがいた位置とはいえ)高価で信頼性の必要なサーバOSの一角にしっかり根を下ろしたことを考えてみると、ちょうどハードウェアの性能がいい頃合いに来たこともあり、MontaVista以外に大きな存在のない現在の組み込みLinuxが大きく変動するかもしれない時期ではないかと思います。
確かにコミュニティベースなオープンソースではTTMの保証や品質の保証などは出来ないかもしれません。でもそこにIntel/Ubuntuから多くの開発者、リソースが加わることで品質の問題はクリアできます。またPDA/携帯/ハンドヘルドに先行して採用されることで熟成期間が稼げます。
熟成が進めば、組み込みへの採用も増える可能性が高く、サポート企業が加わることでTTMや製品保証、多様なハードウェアドライバの問題はクリアできます。また我々のような開発者もコントリビュートできるでしょう。多くのSI/SVが参入できる広い口が出来るわけです。(ちょっと楽観的ですが)
もちろん秋にリリースされるUnbuntu 7.10がすぐにミッションクリティカルな組み込みに使われることは、おそらくないでしょう。でもUbuntu Mobile and Embedded Editionとmoblin.orgが今のデスクトップUbuntuと同じクオリティをもってリリースすることが出来るなら、現在の欠けたピースであるコミュニティベースでオープンな組み込みLinuxの位置を確保することができるのではないでしょうか。